08/03/2014 6:31 AM ·Spoilers
"マホラ"がドッグに到着すると、そこにはたくさんの警察官や保安員が待ち構えていた。俺は営倉から出され、国家警察に身柄を引き渡された。
08/03/2014 6:34 AM ·Spoilers
「サカキタケル。本日1600をもって貴官の身柄を拘束する。着いて来い。」周りではケイや他の乗組員たちがその様子を眺めているようだった。体格のいい警察官が手錠の紐を引っ張って俺を連れて行こうとすると、その前に艦長が立ち塞がった。
08/03/2014 6:37 AM ·Spoilers
「待って。」艦長は思いつめた表情で俺を見ると、視線を警察官に流して言った。「私はサカキ戦術長がスパイではないことを…」
08/03/2014 6:38 AM ·Spoilers
「知っているとでもおっしゃるつもりですかな?…ならば、その根拠はあるのですな?」警察官は冷たい表情で艦長を睨みつけて言った。
08/03/2014 6:41 AM ·Spoilers
「根拠がないならばそれまで。そもそもこれは決定事項です。今さらあなた方の権限でどうこうできるものではありませんので。」そう言うと、警察官は再び紐を引っ張り始めた。しかし艦長は一向に進路を譲ろうとしない。
08/03/2014 6:46 AM ·Spoilers
艦長がなぜ、疑いがかけられたこの俺をここまで信じてくれているのか。俺には分からなかった。そもそも自分がジェドの純粋な軍人であるのか、それともスパイなのか、自分でも分からなかったのだ。
08/03/2014 6:49 AM ·Spoilers
「艦長。」俺がそう言うと、艦長は俺のほうに向き直った。「…艦長。俺はディクレスのスパイでしかありません。あなたの敵でしかないのです。」
08/03/2014 6:53 AM ·Spoilers
警察官達に連れて行かれる俺の背後で、ケイは艦長を必死に抑えていたようだった。後ろで俺の名前を呼ぶ艦長を背に、俺はここを去らねばならなかった。
08/03/2014 6:55 AM ·Spoilers
俺はこれからどうなるのか。そんなことはどうでもよかった。ただ心配だったのは、俺のことを信頼してくれていた艦長や乗組員たちのこの後だった――。
08/03/2014 6:59 AM ·Spoilers
「そういう意味ですか、司令長官!」自らが僕の親の仇だと言い残してサカキがドッグを去った後、航海長である僕をはじめとする"マホラ"乗組員は全員、順番に長官室に入れられてあることを告げられた。地方隊への出向命令である。
08/03/2014 7:00 AM ·Spoilers
「ケイ航海長、これは幕僚会議で決まったことなのだ。受けてくれたまえ。」長官は椅子を反対に回して、窓の外を眺めながら言った。
08/03/2014 7:02 AM ·Spoilers
「なぜ"マホラ"の乗組員が解散されなければならないのですか?しかも艦長に限っては懲戒解雇です。質問に答えてください!」
08/03/2014 7:04 AM ·Spoilers
「…敵軍の密偵と長い間一緒にいた者、そしてそれを見抜けなかった者たちには一時的にここを離れてもらうことにしたのだ。今回のことはそれだけ重大なのだ。」
08/03/2014 7:06 AM ·Spoilers
そんな不毛な問答がしばらく続いた後、ついに長官は"お前も解雇できるのだぞ"と脅しをかけ、無理やり僕を部屋から追い出した。
08/03/2014 7:09 AM ·Spoilers
サカキと長い間一緒だった僕には分かる。あいつがスパイなわけがないことなど、とうに知れている。事の背後には何者かの陰謀が隠されているはずだ。そうとしか考えられない。
08/03/2014 7:14 AM ·Spoilers
廊下を通ると、休憩室のソファーの端に腰を下ろして、ずっとうつむいているタウ艦長が目に留まった。この人が艦長でいるのも今日限りになってしまったが、何か知ってそうな人間はこの艦長以外に存在しなかった。
08/03/2014 9:11 AM ·Spoilers
あえてリアルタイムで見ずに、一日分の投稿が全部終わってから後でゆっくり見るのが僕の楽しみ方。 明日も頑張ってください。
08/04/2014 5:25 AM ·Spoilers
車に乗せられて数時間。俺は留置場の中でも最もランクの高い特別な部屋に入れられた。中は薄暗く、天井に点々とぶら下げられた白い豆電球だけが明かりだ。
08/04/2014 5:28 AM ·Spoilers
部屋の中にあるのは布団、便所、そして天井や床に張り巡らされた監視カメラや赤外線センサーだ。俺はスパイなのだから、ここまでの監視体制になるのも仕方ない。よく見ると檻も3重構造になっている。
08/04/2014 5:31 AM ·Spoilers
ここが何階なのか、あるいは地下何階なのかも分からない。しかし気持ちの悪い寒い風がどこからか漂ってくるのを体は敏感に感じていた。
08/04/2014 5:35 AM ·Spoilers
『君に対する尋問を始める。私は今、天井にぶら下げられている監視カメラのうち、赤いランプが点灯しているカメラから君の様子を監視している。質問には素直に答えなさい。』
08/04/2014 5:38 AM ·Spoilers
天井を見ると、確かに赤いランプが点いた監視カメラがこちらを向いていた。この尋問官は俺が記憶を失っているということを知っているのかわからないが、答えられるだけ答えよう。それがジェドの仲間のためにできる最善のことだから――。
08/04/2014 5:42 AM ·Spoilers
その後、延々とやりとりが続いて何時間か経った後、俺はやっと寝ることを許された。冷たい床に敷かれた薄っぺらの布団。俺は独り、いつまで続くかも分からない夜を過ごすのだった。
08/04/2014 5:50 AM ·Spoilers
いつか皆でペイントバトルの猛特訓をした潮風公園のベンチ。夕暮れに染まる中、僕は艦長にサカキを救い出す方法を尋ねた。しかし、返ってきた答えはあまりに残酷だった。
08/04/2014 5:52 AM ·Spoilers
「…ええ、サカキは敵のスパイだったの。彼の死んだ父親も義理の父親であって、拾われただけなのよ。だからサカキはジェドの人間ではない可能性は十分考えられた。」
08/04/2014 5:54 AM ·Spoilers
タウ艦長はいつになく鋭い目つきで海の向こう側を見つめた。背後で沈みかけている太陽に照らされて、海の上に漂う雲は赤く染まっている。
08/04/2014 5:57 AM ·Spoilers
「…そして、記憶を消してまでジェドにスパイを送り込んだディクレスの目的はおそらく、"御神玉"の在り処を内部から探り盗み出すため。"御神玉"が絶対に敵に渡してはならない代物なのは分かっているよね?」
08/04/2014 5:59 AM ·Spoilers
「それは分かっています。しかしサカキがスパイだと僕には120%の確率で信じられません。僕は艦長とは違い3年間も一緒に過ごしてきた身です。」
08/04/2014 6:01 AM ·Spoilers
そう言うと、艦長は急にハッとしたような表情を浮かべた後、うつむいてしまった。きっと艦長も心の底ではあいつがスパイだとは思っていないはずだ。僕はそう信じたい。
08/04/2014 6:06 AM ·Spoilers
「"玉"は絶対に渡しては行けないの!」艦長の頬に涙が伝った。「…サカキに疑いがかけられた以上、彼を拘束しなければならない。どんな犠牲を払っても、アレを王に渡してはならないのよ。だから――」
08/04/2014 6:23 AM ·Spoilers
手で目をこすりながら話す艦長は、心の中の何かを必死に抑え、事実を受け止めようとしているように見えた。しかし艦長も懲戒解雇の身だ。もう軍には関われないだろう。
08/04/2014 6:24 AM ·Spoilers
僕はタウ艦長にサカキ救出策を尋ねるのを諦めた。あとは頼りになるのはゼロ艦長か、あのヒガシ艦長くらいだろう。明日はこの2人を尋ねよう。
08/04/2014 6:33 AM ·Spoilers
僕は今日でお別れになる艦長を駅まで送ることにしたのだ。サカキの件に関して意見は食い違えど、艦長は艦長だ。これまでの恩というものがある。
08/04/2014 6:37 AM ·Spoilers
「艦長を辞めさせられちゃったから、今度はお花屋さんにでもなろうかな。店を開いたら買いにきてね?」そう言って笑ってみせてはいるが、その心の中がひどく傷付いているのは僕にも分かった。
08/04/2014 6:38 AM ·Spoilers
一本道に差し掛かったときだった。前から4、5人の人間がこちらに小走りで向かってくるのが見えた。妙だと思い眼を凝らして見ると、スーツ姿にサングラスとマスクの不気味な男たちだった。
08/04/2014 6:40 AM ·Spoilers
その男たちは道幅一杯に広がり、僕と艦長が近づいても避けようとしないように見えた。明らかに異常だ。僕は艦長と眼を合わせて歩くのを止めた。
08/04/2014 6:42 AM ·Spoilers
すると向こうもピタリと歩くのを止めてこちらを凝視した。電灯は電圧不足で点いたり消えたりを繰り返し、その近くを虫たちが踊っている。