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めがみめぐり

じゅんちゃんJambotomi

06/21/2017 12:29 AM ·Spoilers

【Short Story10:乗り越えて】 昼下りのカフェ、食器の触れあう音とお客さんの話し声が程よく入り混じる店内は、なんとも穏やかな空気に包まれていた。その時だ、『ザラザラガシャーン!』突然の騒音に一瞬周囲の時間が止まった。 !! 慌てて洗い場からホールに出ると、そこには今にも泣き出しそうな顔で立ち尽くすイズミがいた。チーフは「お騒がせして大変申し訳ありません」とお客さんのテーブルをまわっている。僕はイズミの元に駆け寄り、「大丈夫? 怪我はない?」と散らばった食器を集めつつ声をかけた。「ごめんなさい、私」「それはいいんだけど、この量、一人じゃ無理だよ。そういう時は手のあいてそうな仲間に声をかけて助けてもらわないと」「、、、」。顔をあげた時、奥のテーブルを拭きながら、僕らに冷ややかな目を向ける沢井彩さんと目が合った。サッと視線を外す彼女。イズミとの間に何かあったのか? →第2話に続く 

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  • 【Short Story10:乗り越えて2】 その日のイズミは口数も少なく、夕食の時もあまり食欲がないようだった。何より食べる事が好きで、僕の作る料理を毎回「おいしい!」を連呼して食べてくれる彼女に食欲が無いなんて、普通じゃない。「イズミ、最近店で何かあった?」テーブルに身を乗り出し、彼女の顔をまっすぐ見ながら聞いた。「前にあの店を嫌な場所にはしないって言ったの覚えてる? 話してくれないかな?」「でも、私が話すことによってトミさんや彩さん、お店に迷惑がかかったら、、、」 ! やっぱり沢井さんとの間に何かあったんだ。僕はそっとイズミの髪を撫でた。「心配しないでって言ってるでしょ」「でも、あそこは私とトミさんの大切な、」言葉を続けようとした彼女の唇を人差し指でそっと押さえる。「断言出来る、イズミは何も悪い事してない。だから、全部僕に話してほしい。悪いようにはしないから」。 →第3話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて3】 それから、イズミは僕のいない時の店で何があったのかをポツポツと話してくれた。普通に話しかけても沢井さんが全く答えてくれないこと、助けて欲しいと声をかけても「イズミちゃんなら一人で出来るでしょ」と拒否されてしまうこと、そして休憩時間の時にイズミを囲んで皆が盛り上がると、途端に「私、先に準備行きますから」と沢井さんだけがスタッフルームを出て行ってしまうこと、、、。「私、何が悪いのか、考えても考えても分からないんです、、、」苦しそうに打ち明けると、イズミの両目から大粒の涙がテーブルにこぼれ落ちた。なんだ、ほら、やっぱりイズミは悪くない! でも、人の世界を初めて体験している彼女には、いくら考えても本当の理由は分からないかもしれない。人と人の間に生まれる嫉妬、妬みといった人間の負の感情をイズミはこれまで経験した事がないのだから。 →第4話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて4】 純粋で、まっすぐで、何にでも一生懸命なイズミには何の計算もない。彼女は自分が信じるまま自然に行動しているだけなのだ。でも、それは僕らには時に眩しすぎて、注目を集めてしまう。そして、本人にその気がなくてもそれを『あざとい』と感じて嫌う人が出てきても不思議ではない。沢井彩さんは悪い人じゃない。根は明るくて楽しい人だ。そんな彼女がイズミを嫌う理由は何なのか、今の自分にはハッキリとは分からない。でも、多分この問題は自分が本格的に間に入るのではなく、イズミ自身が沢井さんと本音でぶつからないと解決しない。イズミが自分の力で乗り越えないとダメなんだ。沢井さんを僕が問い詰めるのは簡単だ。でも、恐らくそれでは二人の関係は完全に終わってしまう。そうなったら、あの店がイズミにとって本当に嫌な場所になってしまう。それだけは絶対に避けたかった。 →第5話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて5】 その夜、イズミに伝えた事は『イズミは間違った事、悪い事は何もしていない。そして、自分はどんな事があっても味方であり、必ずイズミを守る』という事だった。最後に今の問題を乗り越える為にはイズミ自身が勇気を持って沢井さんと向かい合うしかないとも伝えた。必ず守るという言葉に安心したのか、イズミは「うん! トミさん、私頑張ります。もののけ退散です」と言って僕の胸に顔を寄せ、程なくして静かな寝息をたてはじめた。イズミ、沢井さんはもののけじゃないけどね、、、。それから数日後、その日の営業が終わり、事務所で店長と売上のチェックをしていた時だ。「トミ、イズミちゃんと彩ちゃんが」とチーフに呼ばれた。通路の先、静まり返ったホールにイズミと沢井彩さんの姿があった。「話って何?」沢井さんの冷たい声が聞こえる。頑張れイズミ、キミなら絶対に出来るから! →第6話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて6】 「話って何?」背を向けた沢井さんが放った言葉にイズミがギュッと両の拳を握るのが見えた。「彩さん、私はこのお店が好きです。皆さんの事も大好きです。失敗ばかりだけど、早く皆さんの力になりたくて頑張ってきました。でも、もしまだ私に足りないことがあったら、教えて欲しいんです!」「足りないこと? アナタそれ本心で言ってる? 突然この店にやって来てさ、一週間くらいで仕事内容マスターしちゃって、他の皆から認められたような奴が『足りないことがあったら教えろ?』バカにしてんの?」「バカになんてしてません! でも、彩さんは私のこと怒ってますよね、だから私には怒らせてしまう理由があると思うのです。それが何なのか分からなくて、だから教えて下さい!」そうイズミが言い終わらないうちに沢井さんはイズミに向き直ると強い口調でいい放った。「アナタ目障りなのよ!」 →第7話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて7】 沢井さんの言葉に周囲の空気が凍り付いたように思えた。「なんて事を!」耐えきれなくなって動こうとした僕を問題の全てを知るチーフが止める。「トミ、ダメだよ! 今アナタが出ていったら、何の解決にもならない!」。沢井さんの言葉が続く「イズミ、目障りなの! アナタが現れるまでこの店は私にはとても居心地のいい場所だった。それが、アナタが来てからまるで別物みたい。いつもバカみたいにニコニコ頑張るアナタに店の皆が注目してる。何なの? 私の好きだったお店を返して!!」 床に目をおとしたイズミの肩が震えているように見える。「変わったのは店の雰囲気だけじゃない、富永先輩もあの頃から私を見てくれなくなっちゃった、、」 沢井さんの言葉に僕は息を飲み込んだ、、そんな、まさか、、、。「富永先輩? トミさん、、、?」イズミが顔を上げた。 →第8話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて8】 「富永先輩と一緒に暮らしてるんだって? 何それ、なんで突然そんな事になってるのよ? それまでそんな話、彼は一度も口にしてなかったのに! ずっと自分の胸に大切にしまっておいたのに、告白する機会もなくなっちゃった! こんなのって」そう言う沢井さんの目からも涙が流れているのが見えた。「彩さんもトミさんのこと、好きなんですね」「悪い? アナタが来る前からずっと好きだった!」「私、気付かないうちに色々なモノを彩さんから奪ってしまっていたんですね」そう言いながらもイズミはしっかり前を見ている。「今、胸が締め付けられるようでとても苦しいです。私がここを辞めて彩さんのお店が戻るなら、辞めてもいいです」!『イズミ、それは違う!!』大声で叫びたかった。「でも、ごめんなさい。トミさんのことは私、絶対に譲れません!」それは初めて聞く力強い言葉だった。 →第9話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて9】 「絶対に譲らない、か、、」沢井さんは涙を拭うと視線を天井に向ける。「そんな事言わなくたって、今の彼はアナタしか見てないよ。私、ずっと見てたんだもん、分かるよ」 視線をイズミへと戻した彼女が一瞬微笑んだかのように見えた。それは、悲しい微笑だった。「イズミ、アナタがこの店を辞める必要なんてない。そんな事したってもう元には戻らない、、、。店長が採用してくれた時に私に言った『彩さん、この店はそう、家だ。スタッフは全員家族だと思ってくれ。だから、お互いに助け合い、皆が楽しく長く暮らせる家にしてほしい』って言葉、なんか嬉しかったな~。私、リアルな家じゃ家族に嫌われてたからさ」 沢井さんの目にまた涙が溢れ、落ちた。「店長の言葉を私は裏切っちゃった。だから、ここを辞めるのは私」。沢井さんの言葉が冷たいナイフのように僕の胸に突き刺さる。 →第10話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて10】 言い終えた沢井さんはイズミの横を抜け、店の裏口へと走り出す。そして事務所の横で立ち尽くす僕とチーフに軽く頭を下げ、外へと消えた。「オイ! いろは、任せたぞ! 絶対辞めさせんなよ!!」薄く開いたドアの中から店長がいつにない真面目な口調で言う。「分かってる! ってか、名前で呼ぶな! トミ、何ボケッとしてるの! キミは早くイズミちゃんの所に行ってあげて!」。そう言い残すとチーフは沢井さんを追って行った。 「若人よ、悩め!苦しめ!、そして大人になりやがれ!! ったく、どいつもこいつもアオハルしやがって! 俺まで影響されちまったじゃねーか」、店長がやれやれと言った感じで呟いた。僕はホールの床に座り込み、すすり泣くイズミを背後から抱き締めた。限界だったのだろう、向き直ったイズミは「トミさん!!」とだけ言うと激しく泣き出した。 →第11話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて11】 どれくらいの時間、僕はイズミを抱き締めていたのだろう。「トミさん、イズミちゃん、落ち着いたか?」と店長に肩を叩かれて我にかえった。「もう遅いから二人は帰った方がいい。後の仕事は俺がやっとくから」「あの、彩さんは、、」イズミが心配そうに口を開く。「それなら心配ない。さっき連絡があって、今夜、沢井はいろはのアパートに泊まるそうだ」「よかったぁー」「ま、一晩たてば落ち着くだろうよ。ウチの店にとっても沢井は大事な家族だ。辞めさせやしないよ。もっとも最後は本人の気持ち次第だけどな」。店長はそう言って僕らを見送ってくれた。長い一日だった。「トミさんありがとう」「いや、守るとか言っといて僕は何もしてない」「ううん、今日、彩さんとお話しして色々な感情を知りました。トミさんが後ろにいてくれてるって分かってたから私、頑張れたんですよ」 →第12話に続く

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  • 【Short Story10:乗り越えて12】 あれから数日、沢井さんは店に現れなかった。手があいた時、イズミは時々寂しそうに窓の外を探す。「彼女は辞めないわよ。でも、少し心の整理が必要だって」あの日の翌日、チーフは僕らにそう告げた。再会は突然だった。ある朝、店の外に髪の短い女性が立っていた。その人はイズミの姿を認めると大きく手を降る。「イズミ、おはよう!」、完全なるイメチェンを成し遂げた沢井さんだった。「彩さん!」イズミが駆け寄り、抱き合う。「色々迷惑かけました、ごめんなさい! 今日から新生・彩ちゃんです!」そう告げ、イズミの手を引いて店の扉を開けた彼女が僕の方に振り向いて言った「先輩、私、諦め悪いんですよ」「ちょ、沢井さん! 俺、沢井さんの気持ちには応えられないよ!」、、。店内に消えた二人の笑顔は証明していた。イズミと沢井さんは和解し、それぞれの問題を乗り越えられたのだと。ーEndー

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